犬猫を年間10万匹殺している日本が殺処分ゼロを達成するための方法

犬猫を年間10万匹殺している日本が殺処分ゼロを達成するための方法

保健所で殺処分されている犬猫は、安楽死で最期を迎えるわけではありません。「ドリームボックス」と呼ばれる処分器に押し込められ、二酸化炭素によって窒息死させられます。

ヨーロッパでは一般化している「アニマル・ライツ(動物の権利)」の観点から考えても、「せめて安楽死をさせるべき」といった意見が多い中、やはりコストや職員の労力、そして手を下す獣医師の心理的な負担が考慮され、「ドリームボックス」のような方法で殺処分が行われているのが現状です。

10人に1人の選択肢

日本のペット業界は無法地帯

ペットの「殺処分ゼロ」は、早急に遂行しなければならない課題です。殺処分数は年々減少傾向にありますが、未だ年間10万匹以上の犬猫が殺処分されており、目的が達成できたとは言い難いでしょう。

そもそも、殺処分が減らない原因のひとつは、日本のペット業界にメスが入らないことです。特に、陳列ケースに幼い子犬や子猫を並べて高値で売る「生態販売」は諸悪の根源。

子犬や子猫が欲しい場合は、ブリーダーからではなくペットショップで探す方法が一般的となっている日本。近年は優良なブリーダーから直接譲り受けるケースも増えていますが、やはり欧米諸国ほどそういった意識は浸透しておらず、犬の購入先の約7割がペットショップという調査結果もあります。(平成20年 環境省調べ)

最近では「買う」のではなく、ボランティア団体を通じて「譲渡」という選択肢も周知されてきましたが、やはりペットショップからに比べると、まだまだ少数派となっています。

子犬や子猫の生態販売を動物虐待とみなす国

海外では子犬や子猫の心身に負担をかけるとして、ペットショップの生態販売を禁止している国も少なくない。なかには、イギリスやドイツのように生態販売は動物虐待とみなす国もあります。

動物愛護の意識が浸透しているドイツでは、直接的な法規制はないものの、ペットショップのような生態販売は基本的に行われていない。数年前まではペットショップが当たり前に存在していたイタリアも自粛傾向にあり、アメリカも法律で規制される州が徐々に増えています。

犬はおよそ半年で成犬に成長するため、見た目が可愛い子犬の期間はわずか。日本のペットショップでは、子犬のうちに売りたがる傾向にあり、生まれて間もない子犬も関係なしに店頭に並べています。

幼すぎる段階で親兄弟から離され、安心できない環境でストレスにさらされる子犬。これでは、心身の成長発達への悪影響も否めません。日本のペット業界では当たり前のこの方法ですが、イギリスでは動物虐待とみなしており、違反業者には重罰が与えられます。

ただ、非道な手法で生態販売を行っている国は日本だけではありません。フランスは未だ法規制がなく店頭での生体販売が行われ、アメリカでは日本より劣悪な環境でパピーミル(強制繁殖場)が大規模で行われています。

力を持たない動物愛護管理法

平成25年の動物愛護管理法改正で、業者を対象とした法規制が施行されましたが、取締り自体が非常に甘く、地域によっては有名無実となっています。それどころが、全国各地で引き取りビジネスが蔓延し、ネグレクト(育児放棄)として問題になっています。

この動物愛護管理法がしっかりと施行されていれば、非道なパピーミルやペットオークション、そして生体販売を行うペットショップを無くすことができるはずです。

無責任な飼い主のせいで今日も殺された犬や猫

日本では、商品となる子犬や子猫をどんどんと産ませるパピーミル(強制繁殖場)と、犬猫を安く競り落とすペットオークションが当たり前のように行われています。

そして、日本のパピーミルやペットオークションは質より量の世界。何も知らない人は、子犬や子猫は可愛く見えてしまう。そんな無知な人間の深層心理に付け込んだ商法が日々行われています。こうしている今も、市場には子犬や子猫が次々と投入されており、1頭1頭の命が軽視されています。

子犬や子猫の可愛い時期が過ぎ、成犬成猫となれば捨てる飼い主。懸命に殺処分ゼロを目指す保健所やボランティア団大の努力もむなしく、命が作られているのが事実となっています。

もちろん、良心的なペットショップやブリーダーも存在します。しかし、日本が殺処分ゼロを達成するには、イギリスやドイツのようにペットショップによる生体販売を禁止して、飼い主の意識改善を行う方法しかないと私は考えています。

この記事に共感したら

シェアが殺処分ゼロに繋がります!

7 件のコメント

  • 法律でペットショップによる生体販売禁止に賛成します。負のイメージがある動物保護センターに行く勇気がなく、でも犬を欲しくて私自身もペットショップで犬を購入しましたが販売していなければ譲渡会やブリーダーから引き取っていたと思います。ずるい言い訳かもしれませんけど。生体販売業界について動物保護について学校での義務教育に取り入れてもらいたいです。消費者の意識改革には時には強引な方法も必要かとも思えます。今一緒にいる犬を終生まで責任を持つ事と共に出来る範囲での協力をしたいの思ってます。

    • コメントありがとうございます。そうですね。私も学校教育でペットショップや殺処分について教えるべきだと思います。未だ多くの人は「ペット=お店で買う」ということが常識となっており、譲渡会という選択肢が無いのでは?と感じます。ですので、まずは知ってもらうこと。ペットショップ以外にも子犬や子猫がいる、ペットショップだけじゃないということを知ってもらえれば、殺処分の削減につながると思います。

  • 今、私も保護のワンちゃんを飼っています。病院に行くたびに里親募集を見ます。自分の無力さを感じます。神戸市に住んでる私ですが何をすればいいでしょうか。行政を動かすにはどうしたらいいのでしょうか?何か力に慣れればと。

    • このサイトを運営して感じるのですが、個人で出来ることは限られていると思います。

      ですが、誰かを巻き込む、また誰かに協力することで、その想いは形になるはずです。

      まずは、家族、友人、知り合い、ご近所に殺処分の現状、地域猫という活動、里親という選択肢について知ってもらう。

      次に、最も近くで活動している動物保護団体やボランティアさんに会ってみることをおすすめします。

  • 動物の命をお金に変えて売買することに、反発と抵抗がありました。
    猫が大好きで、猫のパートナーを欲しいと思い、保護猫や譲渡制度を少し見てみました。
    ですが、近くに身よりもなく単身で、仕事をしてれば当然日中のお世話は出来ません。
    そういう生活環境の人間には資格なしとされ、保護猫を引き取りたいと思っても出来ない現実がありました。
    そして、結局ペットショップへ…
    簡単に保護動物を引き取れるようにすれば、そこに目をつけて動物虐待する人もいるかもしれません。
    なので、できるだけしっかりとした環境の人を…というのは分かります。
    ただ、あまりにも譲渡を受けられるまでが厳しく(私はそう感じました)、ペットを飼いたい人なら知ってるであろう保護動物の譲渡にてを出しづらい現実があると思います。

    ただ、殺処分というのは絶対許せません。
    動物の気持ち、保護・譲渡の壁、私たち飼う側の意識の改革…難しい問題ですが向き合っていかなくてはならない問題ですね。

    • そうですね。ただ、単身者の飼い主が入院したら?事故で飼育できなくなったら?その時に、代わりに面倒を見てくれる人はいません。
      また、1日のほとんどを留守番させて、その間に何かあったら?もしもを考えると、やっぱり譲渡は難しいでしょう。
      引き取ったはいいが、あらゆるケースにおいて面倒が見れないという人は、そもそも飼育する資格がないと考えるのが普通だと思います。犬や猫は人に頼るしかありませんからね。
      あとは、譲渡する側の想いもあります。せっかく保護した犬や猫たち。これからは幸せになって欲しいと願うのは親の想いです。なのに、結局1人ぼっちになるなら、進んで引き渡そうなんて思いませんよね。
      むしろ、そういった飼い主としての資格をしっかり見極めないペットショップが問題だと思います。無責任の一言に尽きます。お金さえ払えば、どんな人でも良いのでしょうか?
      「犬を飼いたいから」「猫が好きだから」「このままでは殺処分されてしまうから」
      一時の気持ちと、その後数年の気持ちは別に考えなければなりません。
      命を預かるということは、どういうことなのか?
      託された命を前に「やっぱり無理」は絶対にありえませんからね。

  • 本当にその通りだと思います。世界レベルで犬猫の繁殖を問題にするべきだと思います。そして生体販売を無くす、殺処分を無くす。早くそんな世界になってくれればと心より思います。うちにも保護犬がいて犬を飼うなら譲渡からと訴えてきていたつもりでしたが友だちが次々とペットショップで犬を迎える現状に心底ショックを受けています。もっと強く発信を続けなければと思っています。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です